あまり知られていませんが、薬剤師さんは、一日に多量の薬剤を調剤します。そのため「正確さ」「清潔さ」「スピード」が要求されます。
錠剤を服用できない患者様には、錠剤を粉砕化する調剤を行います。ただ、乳棒と乳鉢を使用し粉砕する際に、薬剤が飛散して分量が変動してしまい適切な調剤が行えない場合があります。また飛散すると、はじめから調剤しなおすことになってしまい、調剤時間の延伸に繋がります。誰もが使えて、錠剤の飛散を防ぐ装置はできないか、という現場の声から生まれたのが「遥か飛ばず」=「ハルカトバズ」です。
一般的に錠剤の粉砕化は乳鉢、乳棒を使用します。
その際、錠剤が飛散する可能性があり、一度飛散すると調剤の分量に影響を及ぼすため、残りの途中材も廃棄することになり、最初から調剤をやり直さないといけません。そこで、乳棒で錠剤を粉砕する際に、粉末の飛散を抑える器具を開発しました。それが、錠剤粉砕補助器具「ハルカトバズ」です。
規格サイズ | 《大》外径:16cm / 高さ:1.2cm 《小》外径:13cm / 高さ:1.2cm |
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対象乳鉢 | 《大》外径:15cm、14cm、13cm 《小》外径:12cm、11cm、10cm、9cm |
材質 | 樹脂 |
意匠に係る物品 | 乳鉢用飛散防止蓋 |
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出願日 | 平成30年11月21日 |
登録日 | 令和1年10月4日 |
登録番号 | 1644126号 |
現在、錠剤の自動の粉砕機や簡易粉砕機も販売されていますが、装置としての粉砕機は高価で、簡単に導入できない場合が多いです。また、簡易的な粉砕機はメンテナンスが難しく、残留薬剤が残ってしまうのではないか、と不安視されていました。
そういった中で、山口大学医学部附属病院の薬剤部より、乳棒を用いながら、錠剤の飛散を抑えるような錠剤粉砕補助器具を作ることができないかというお話をいただき、ハルカトバズの開発はスタートしました。
山口大学医学部附属病院 薬剤師
本器具は乳鉢に被覆して使用するものです。その際、視認性に優れ、操作性を妨げないものとして複数回の形状変更を行いました。また、適した素材の選択についても多くの専門家の方々からのご意見を参考にさせて頂きました。本器具の造形に関して特に注意したことは、形状を可能な限り単純なものにすることで、粉砕時の使用方法に複数の選択肢を持たせないよう意図したことです。これにより、使用者が異なる場合でも直感的に同一の使用方法が選択される形状を目指しました。有りそうで無かったこのような器具が少しでも医療安全のお役に立てれば幸いです。
山口大学医学部附属病院 薬剤師
大学病院で勤務させて頂いています。
あらゆる診療科がある中で、錠剤を服用できない患者様には散剤に変更、もしくは錠剤を粉砕化することによって対応させてもらっています。どこの薬局においても、粉砕化調剤を行う際は、「清潔さ」はもちろんですが、「スピード」も同時に求められると思います。
乳棒と乳鉢を使用し薬剤を粉砕する際に、特に糖衣錠やフィルムコーティング錠は飛ばないように細心の注意を払い粉砕化していても錠剤が飛ぶことがあるため、飛ばさないように慎重に粉砕すると時間を要していました。ハルカトバズを使用すると、思い切り粉砕化することができ、調剤時間の短縮にもつながりました。清掃方法も簡潔であるため、清潔に保ちやすく、患者様も安心です。思い切り錠剤を粉砕化できるととても気持ちいいですよ!ぜひたくさんの方に使用して頂きたいと思っています。

国立大学法人山口大学 大学研究推進機構
研究推進戦略部 シニアURA
国立大学法人山口大学 大学研究推進機構
知的財産センター
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