
ハイブリッド造形部品をめざして。
弊社では、FRP素材専用の3Dプリンターをいち早く導入し、ノウハウを蓄積しています。3D造形したFRP部品に追加工を施した高精度部品を小型人工衛星キューブサットなど軽量化が求められる宇宙航空産業部品として展開しています。既に多くの企業様より試作の依頼をいただいております。弊社がめざす先は、プリンターの可能性を徹底追求し、プリント造形を基軸に高精度複合ユニットの応用加工部品などの次世代型ものづくり体制を構築することです。
3Dプリント技術の基礎データを収集
FRPの3Dプリント技術と精密切削技術を通して多様な構造体を造形し、JAXAと引張り試験や圧縮試験、曲げ試験に取り組んでいます。国内外で広く求められているFRP部品の物質データや強度データなどの基礎データを収集して着実にノウハウを蓄積しています。
国内研究機関と二人三脚で、FRP部品の初期構造設計に取り組んでいます。新たな部品を生み出すことで技術革新を推し進めたいと考えています。
将来的には、FRP素材の3Dプリント構造を骨組みとした他技術との融合(金属加工・板金・表面処理)を行い、ユニット製品として、付加価値のある製品を生み出していきます。
2020年7月26日、弊社の参画している「やまぐち空中発射プロジェクト(※1)」、小型ロケットにおける空中発射システムの実証試験が行われました。弊社、伸和精工は、姿勢制御装置の部品製作(3Dプリント・加工)の部分で技術提供しております。
本試験では、ロケットの発射やジャイロ効果を活用した高い応答性能を持つ姿勢制御装置と無線点火装置が設計通りの機能を有していることを確認しました。また、空中発射装置に設置した加速度計(※2)から、一連の挙動に関するデータの取得に成功しました。
動画:小型ロケットを使った空中発射実験の様子(2020年7月)
気球を用いた空中打上げではロケットの初期姿勢角を安定のため、レール式発射装置が検討されていますが、ロケットがレールと気球に与える影響は不明でした。今回、その挙動と発射システムを開発に必要な定量データを世界で初めて取得しました。弊社としても、システムの改良・改善に貢献していきたいと考えています。
(※1)やまぐち空中発射プロジェクト
正式名称「液体式小型ロケット空中発射事業に於ける発射装置の研究開発」。やまぐち産業イノベーション促進補助金(航空機・宇宙産業関連分野)に採択され、事業化に向けて液体式小型ロケットと100kg 級小型衛星の一体型開発モデルの構築、サブスケールロケットを使った空中発射システム試験、さらに成層圏気球用バルーンスラスタの設計開発を実施。
(※2)加速度計
今回、本プロジェクトに協力していただいた株式会社大林組から測定器の提供を受け、発射装置の挙動を把握するための加速度計を設置した。
各種問い合わせ先
- 3Dプリント・切削 部品:株式会社伸和精工
- やまぐち空中発射プロジェクト幹事会社:株式会社アクシス
- やまぐち空中発射プロジェクト事務局JSS:一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構